2−6−1 位相速度解析

位相速度解析は、予備解析、テスト解析と本解析の3つのステップで行った。

予備解析は主に観測データのレベル(パワースペクトル)、ノイズの周波数範囲、大型車両の通行による異常振動等を十分に把握し、本解析に用いるデータを抽出するためのパラメータを決定する解析であり、テスト解析は主に解析に用いる解析手法(空間自己相関法或いはF−K法)及びデータ基本区間長等パラメータを決定する解析である。

本解析は予備解析及びテスト解析により得られたパラメータを用いて、観測データから不良データを除外し、良いデータのみ用いてレイリー波基本モードの位相速度を推定する解析である。今回の解析ではLアレイとMアレイのデータについて、空間自己相関法を適用し、Sアレイのデータについては、必要に応じて、空間自己相関法とF−K法の両方法を採用した。

各アレイ半径から得られる位相速度には、一般的に次のことが言える。アレイ半径毎に求まる位相速度は、その周波数範囲内において、観測データに含まれるノイズ(S/N比)がどのアレイ半径も同じとすれば、アレイ半径が大きいほどノイズの影響の少ない位相速度が得られる。したがって、最終位相速度は、半径毎に得られた位相速度が集中する周波数範囲では平均より求め、一方、微動のパワーが低く各半径の位相速度がばらついている場合あるいは、同一周波数で得られた位相速度が少ない場合には、より大きな半径の位相速度を重視して求めた。

解析に用いた主なパラメータは表2−6−1−1にまとめて示す。

表2−6−1−1 本解析に用いたパラメータ

本解析により得られた各地点のレイリー波基本モードの位相速度曲線は図2−6−1−1に全調査地をまとめて示すとともに、図2−6−1−2図2−6−1−3図2−6−1−4図2−6−1−5図2−6−1−6図2−6−1−7に各地点の位相速度とその誤差範囲を示した。位相速度の誤差は、各半径のデータから得られた同一周波数の位相速度のばらつきを求め、そのばらつきを位相速度の可能な変動範囲(誤差範囲)とした。ばらつきを求める際、1個の半径のデータしかない周波数範囲については前後のデータを吟味して約5%〜8%として評価した。得られた各地点の位相速度について以下のことが言える。

・ 得られた各地点の位相速度は低周波数側においてばらつきはあるものの約2.5km/s前後であり、地震基盤(Vs≒3km/s)を反映する情報がほぼ得られていると考えられる。

・ 位相速度の高周波数側は約5.5〜7.7Hzまで得られており、速度値は約250m/sで、浅部の速度構造を反映していると考えられる。

・ 約0.6Hz〜2.0Hzにおいて各地点共に位相速度のばらつきが大きく、推定した位相速度の誤差もやや大きいと考えられる。その原因は微動信号のパワーが低いこと、または地質的な複雑さによるものと考えられる。

・ 位相速度のばらつきについては、ATSUGI地点は最も小さく約5%〜6%であり、HIRATSUKA地点は最も大きく約10%である。それ他の地点は約6%〜8%である。

図2−6−1−1 位相速度解析により得られた各地点のレイリー波基本モード位相速度

図2−6−1−2 得られたHADANO地点のレイリー波基本モード位相速度

図2−6−1−3 得られたNAKAI地点のレイリー波基本モード位相速度

図2−6−1−4 得られたATSUGI地点のレイリー波基本モード位相速度

図2−6−1−5 得られたISEHARA地点のレイリー波基本モード位相速度

図2−6−1−6 得られたHIRATSUKA地点のレイリー波基本モード位相速度

図2−6−1−7 得られたCHIGASAKI地点のレイリー波基本モード位相速度