4−2 足柄平野周辺の速度構造モデル

足柄平野周辺のP波速度構造モデルについて、反射法による速度解析、および、タイムターム法による屈折法解析の手法により推定した。

神奈川県東部(関東平野南西部)における地下のP波速度構造は概ね5層に分割され、堆積年代、地質分布との対応が以下のように考えられた(神奈川県、2001)。表4−1参照

一般に、反射法の速度解析では速度スペクトルからイベントの強いRMS速度値をピッキングした後各地層区分毎に区間速度を算出されるので、堆積層のP波速度の信頼性は反射波の多寡に影響される。反射面の豊富な上総層群では、深度に沿って速度が徐々に増加するる単調増加型であり、区間速度が安定して求められている。

今回の足柄平野周辺の速度構造は、比較的強い反射面により堆積層を数層に層分けて求めたが、全体的に反射波に乏しく精度が高いとは言えない。図2−15−1図2−15−2に、反射法の速度解析による各種速度の空間変動が示されているが、これが推定平均速度や推定深度に対する解析精度の目安であると考えられる。特に、RMS速度から区間速度を求めているため、層区分の設定の仕方により任意の深度に対する区間速度値は少なからず誤差を持つ。一方、屈折法解析では、層区分はたかだか3〜4層(各層内の速度は一定)が限度であるが、それぞれの速度値に対する精度は高い。そこで、屈折法解析の結果に従い、基盤層を含む4層モデルを作成した。表4−2 参照

ここで、基盤速度の推定値約4.3km/sについて、初動走時データだけでは速度と深度の間でトレードオフの関係がみられ、基盤速度を多少加減しても堆積層の深度を多少変更することで説明は可能であることから(例えば、川崎市、2000)、今後、他のデータとの整合性をはかりながら総合的に解析する必要がある。また、第2層の3.0km/s層については、堆積層の中間層であるため、一様な速度でなく平均的な速度を表していると考えられる。

なお、最下層にあたる第4層については、B測線両端部での見かけ速度から4.9km層が推定されたが、データが測線全域をカバーされていないため、全域での形状は不明である。