3−2−6 発破振動について

事前の発破振動予測に用いた式(吉川の式、K=700)による予測値は、実測された発破初動振幅と比べると(図3−5図3−6)、TD−1およびTD−3は、20dB程の過小評価、TD−2およびTD−4は、20dB程の過大評価となった。測線のノイズ状況は、数μ〜数百μkineの範囲であることから(図2−6)、TD−1およびTD−3の発破による初動到達距離は20kmを超えており、観測点全点をほぼカバーしているものと考えられる。一方、TD−2およびTD−4の発破による初動到達距離は、高々20km程度であると推定される。TD−1の発破近傍における波形を調べると、200m地点で400galという大きな値を観測している。卓越周波数が約13Hzであり、加速度が大きな値を示し、体感的にも大きな衝撃を感じたと言う住民からの苦情があった(TD−1、200m地点)。また、TD−3については、110m地点の西湘バイパス橋脚で約500gal、4kineを観測した。今後、構造物に対する安全性だけでなく住民からの苦情の発生を回避することを考えると、住宅地から500m程度離す必要がある。また、発破振動の計器に対する影響について、ガス会社等が用いるSIセンサー(SI値)では問題にならないが、新幹線などが用いる感震器(加速度値)に対して、今回の実測値をもとに再考する必要がある。