9−1−2 強震記録のスペクトル解析による検証

県内のK−NET観測点14地点で得られた前述の5地震の観測記録から水平2成分合成のスペクトル特性を求め、その地点の地下構造モデルでの鉛直S波入射に対する理論増幅特性との比較を行った。スペクトル特性は、S波主要動を含む40.96秒間の水平2成分のそれぞれの記録についてFFTによるフーリエ解析を行い、2成分の位相を考慮した合成スペクトルにバンド幅0.2HzのParzenウィンドウによる平滑化を施し求めた。図9−1−4に、各地震について求められたスペクトル特性とS波増幅特性を地点毎に示す。

地震記録のスペクトルは、地震により振幅レベルに相違はあるものの地点毎にそれぞれほぼ相似な形状を示しており、各地点の地盤構造を反映しているものと考えられる。一方、地下構造モデルによる理論増幅特性も、一部(川崎・藤沢・秦野の5Hz程度より高周波帯域、横浜の3~5Hz付近、三崎の4Hzのピーク、厚木の4~5Hz付近等)を除き地震記録のスペクトル特性の形状とほぼ相似な形状となっている。このことから、今回求められた地下構造モデルは大まかな構造としてはほぼ妥当なものであると考えられる。