5−2−1 基盤速度の判定

基盤速度を決めるためには、往復走時が得られている必要がある。必ずしも完全な往復走時が得られているわけではないが、各測線の以下に示す区間がこれに相当する。

A測線: 駒沢−平塚全区間38km

b測線: 夢の島−座間間44km

c測線: 夢の島−黒川間35km

d測線: 夢の島−小田原全区間72km

e測線: 夢の島−舞岡間36km

f測線: 東扇島−黒川全区間31km

g測線: 舞岡−黒川間25km

上記の区間について、表層除去法により、速度走時曲線を求めた。速度走時曲線により求められた基盤の速度は、測線の交差部で多少の相異は見られるが、概ね4.8〜5.0km/sの速度値が得られた。また、測線長の長いb、c、d測線では4.8〜5.0km/s層の下部に5.5km/s相当の速度値を示す速度層が見られた。各測線の結果は以下のとおりである。

A測線:測線長は38km程度である。しかしながら、基盤速度は5.0km/sでその下部層に相当する5.5.km/s層からの屈折走時は見られない。

B測線:測線長は夢の島−大山間で55km程度であり、そのうちの夢の島−座間間の約44kmで往復走時が得られている。基盤速度は夢の島付近で5.5km/s、座間付近で4.8km/sとなる速度が得られた。夢の島付近で5.5km/sの上部に4.8km/s層の薄層を考えても観測走時は説明できる。

C測線:測線長は夢の島−高尾間が約60kmであり、夢の島−黒川間の約35kmで往復走時が得られている。基盤速度は5.2km/sである。この層は比較的薄く、下部に5.45km/s層が見られる。

D測線:測線長は夢の島−小田原間が約72kmである。基盤速度は、夢の島−平塚間で、4.8km/sの下部に5.45km/sが見られる。平塚−小田原間では、4.3km/sの速度値を示す速度層が出現する。

E測線:測線長は、夢の島−江の島間で約48kmである。夢の島−東扇島間(12km)はデータがない。基盤速度は4.8〜5.0km/sである。

F測線:測線長は、東扇島−黒川間で約31kmである。基盤速度は4.8km/sであり、この測線長では、5.5km/s層を確認することは難しい。

G測線:測線長は、金沢−黒川間で約37kmである。基盤速度は4.8km/sのみである。