4−1−2 神奈川県及びその周辺地域

神奈川県及びその周辺地域の深部ボーリングの一覧を表4−1−3に、その位置を図4−1−3に示す。これら7つの孔井のうち、相模原、藤沢、逗子は温泉ボーリングによる資料(小沢・他,1999)によるもので、層序のみが確認されており物理検層データはない。

府中観測井では、VSP検層が実施されており(浅野・他,1991)、深度10〜2700mのP波速度及びS波速度が求められている。図4−1−4は区間速度より求められた速度構造である。また、P波最大振幅から、深度500〜1000m間でQp=50〜80の値が得られている。図4−1−5にはVSP検層による区間速度データを示す(川崎市,1999)。

図4−1−6に各孔井の簡単な層序と物理検層結果を示し、層序資料をまとめた結果を表4−1−4に示す。先新第三紀の基盤層に到達している孔井は、江東(深度2579m)、府中(深度2022m)、相模原(深度1453m)の3地点である。

三浦層群上面深度は、江東(1677m)、府中(1494m)、横浜(1370m)、相模原(345m)である。藤沢、逗子では地表付近から三浦層群が確認されている。藤沢、逗子の孔井で確認されている葉山層群は、古第三紀〜中新世前期の地層とされている。その上面深度は、藤沢で570m、逗子で950m程度とされている。また、三浦半島中央部では、地表でほぼ東西方向に葉山層群が分布している。

厚木地点では、更新世の相模層群(深度40〜190m)と中新世の愛川層群(深度190〜1837m)が見られ、他のボーリング地点による層相とやや趣きを異にする。音波検層結果から、愛川層群のP波速度はVp= 2〜4 km/sとかなり大きな幅を有しており、深度1700〜1837mにおいてVp= 4 km/s程度の値を示している。

上記の深部ボーリング地点の音波検層及びVSP検層から得られるP波速度は、概ね

上総層群  ――――― 1.7 〜 2.5 km/s

三浦層群  ――――― 2.7 〜 3.4 km/s

先新第三紀 ――――― 4.5 〜 5.6 km/s

である。上総層群及び三浦層群中の速度値は、深度に対しほぼリニアに増加する傾向にある。

府中のVSP検層から得られたS波速度は、概ね

上総層群  ――――― 0.5 〜 1.2 km/s

三浦層群  ――――― 1.3 〜 1.5 km/s

先新第三紀 ――――― 2.8 〜 2.9 km/s

である。(上記の速度値は検層結果の速度柱状図から読み取った値である)