3−1 地形概要

日本のほぼ中央部で関東地方の南西部にあたる神奈川県は、面積約2400km2と47都道府県のうち43位と面積こそ狭いが、人口は東京都、大阪府についで第三位を占めており、首都圏を構成する行政単位としての大切な役割を担っている。図3−1−1に神奈川県内行政区画一覧を示す。

交通機関としては日本の大動脈である、東海道新幹線、東名高速道路等が県内を東西にはしり、太平洋側の主要都市を結ぶ輸送の基幹をなしている。

また、西の箱根、東の三浦半島をはじめとする自然環境にも恵まれている。さらに、鎌倉幕府の所在地でもあった鎌倉、江戸時代に東海道53次の宿場町として栄えた都市には多くの旧跡、史跡が存在している。

図3−1−2に神奈川県の地形図を示す。地形的には西部の丹沢山地、中央部の多摩丘陵、大磯丘陵、相模原台地、下末吉台地、東部の多摩川低地、相模川低地、変貌の著しい埋め立て地域の3つに分類することができる。代表的な河川は南に流れる酒匂川、相模川、東に流れる多摩川である。この地形は、第四紀更新世中期以降に形成されたものである。図3−1−3は貝塚・他(1985)による関東平野の変遷を示す立体模型を示したものである。この図から特徴をまとめると次のとおりである。

(1) 約12万年前(d)は、間氷期のため海面が上昇し、三浦半島の台地部、相模原台地等の台地部の標高が高い地域以外は、海面下に没していた。

(2) 約2万年前cは、最後の氷期にあたるため、海面が低下し神奈川県は古東京川をはさんで千葉県と陸続きになった。この時期陸域が最大に広がった。

(3) 縄文前期(約6000年前)(b)は再び海進が起き、平野部は一時的に水没した。

(4) 再び海退により現在の地形が形成された。

図3−1−4は(社)全国国土調査会(1979)による神奈川県の地形分類図を示したものである。それぞれの特徴を以下に示す。