(3)千葉県直下の地震

千葉県周辺直下で発生する地震は、周期1秒から2秒までの地震動が卓越していて、いずれの地震も明瞭な長周期ピークを持たない。主にS波の実体波が強い地震動を与えており、継続時間が短いが強い揺れが発生しているのが特徴である。ただし、観測地点によってパワーは異なっており、CHB030(木更津)では、1秒〜l0秒の長周期成分 のワーが他地点のおよそ2〜5倍になている。CHB017(鋸南町)では、1秒付近のパワーが他地点より2〜3倍強い傾向がある。これらの観測点ではそれぞれの点での地下構造を反映して地震波が増幅していると考えられる。

震源地域が異なる同じ規模の地震を比較した場合、伊豆諸島の地震(例えば、2000/7/30三宅島地震)では、長周期スペクトル(周期10秒前後)のピーク値が群を抜いて大きい(同一マグニチュードで比較して10倍程度)。さらに、伊豆諸島で発生する地震は、その地震規模や観測地点が異なってもピーク周期がほとんど変化しない。これらのことから、伊豆諸島の地震に現れる周期6−7秒・10秒のピークは、震源効果やサイト増幅効果だけでなく、地震波(表面波)が千葉県に入射する前の過程(例えば、相模湾や東京湾)で、励起・発達している効果が含まれると考えられる。