(1)基盤岩(マーカーE以下)

反射法地震探査により最大深度4000m程度まで先新第三系基盤岩までの構造が求められた。市原市佐是(RP.660、市原市牛久の西側、養老川付近)で西落ち落差約1500mのほぼ垂直な断層が確認された。基盤上面までの反射が明瞭なのは、上記断層より東側に限られる。調査測線西部(東京湾側)では、基盤上面の反射は明瞭ではないが、保田層群相当層上面と推定される反射面までの構造をとらえることができた。

前述の断層より東側では、市原市鶴舞付近までは基盤深度は約4000m、基盤上面はほぼ水平である。千葉大学の房総東部測線、石油公団の房総沖浅海域の調査データを参照すると、東南東方向(太平洋)に向かって基盤深度は徐々に浅くなり、房総半島太平洋岸で基盤上面の深度は2500m程度である。基盤深度が浅くなるにつれ、ブーゲー異常値は増加しており、傾向は一致している。

昨年度までの調査結果では、北東方向(八街市方面)へも基盤深度が浅くなり、これら2方向についてはブーゲー異常値と基盤深度の傾向はよく合っている。基盤岩上面深度がほぼ4000mを超える南方向(市原市から富津市にかけて)では、ブーゲー異常値は増加するもの、基盤岩上面深度が浅くなる傾向はなく、相関はみられない。

平成15年度測線では先新第三系基盤岩の反射面は明瞭ではないが、屈折法地震探査から、P波速度は4.9km/s、基盤岩上面の深度は測線の西側で最大5500m以上と解析された。これは、平成13年度の調査結果と交点で矛盾なくつながる。基盤岩のP波速度は、房総半島東部では4.5km/s程度と西部に比べやや遅くなっている。

一般的に、基盤岩上面は上位の堆積層との速度コントラストが大きいため強い反射面となるが、保田層群相当層が厚く分布する地域では、基盤岩上面の反射波は弱くなる。平成15年度測線と平成13年度測線の交点付近は、保田層群相当層の反射が見られ、基盤岩の反射波が明瞭ではないと考えられる。