3−2−3 密度

地層の密度は、坑井の検層によって調べるのが最も一般的である。掘削時のコアサンプルを直接調べることも可能であるが、地下の圧力・温度の条件下での密度を正確に求めることは難しい。

P波速度(Vp)から密度(Rhob)を算出する一般的な経験式として、ガードナーの法則(Gardner et.al, 1974)を利用する方法もある。これは、

Rhob = A Vp0.25 (Aは定数)

の形で表され、密度はP波速度の4分の1乗に比例することを意味する。

千葉県内および周辺の深層坑井6孔において取得された検層記録から、P波速度と密度との関係を調べて見たところ、図3−8(上)のようになる。これらの坑井では、必ずしも基盤岩まで掘り込んでいないため、堆積層中の限られた範囲の速度と密度の関係を反映しているものと考えられる。

 そこで基盤まで掘り込んでいる下総地殻活動観測井・江東地殻活動観測井・成田地殻活動観測井の3坑についてプロットし、解析したところ(図3−8下)、相関関係がより明瞭になり、密度はP波速度のほぼ0.35乗に比例して、次の近似式で表される。

Rhob = 1.5 Vp0.35 (Rhob の単位は g/cm3、Vpの単位はkm/s)

上図のように、P波速度と密度の関係はかなりばらついており、上記関係式による密度の算出はあまり精度がない。このばらつきは、地質(岩質)の差を反映したものと考えられ、比較的似た地質状況であれば、目安として使うことができる。

これら坑井の密度検層記録から、地層毎の密度の分布範囲をまとめたものを表3−1に示した。