3−5−1 対象データ

反射法・屈折法の構造モデルに微度をアレー調査のS波速度を当てはめたを主体とする三次元速度構造モデルを作成した。

モデルの検証は、最終的には三次元のシミュレーションが必要と考えるが、当地域では比較的水平方向の構造変化が緩やかであるため、一次元のシミュレーションでどの程度検証が可能であるかを検討した。

収集した強震動観測波形について、多くの観測点の近傍で微動アレー調査を実施しており、各観測点で、信頼性の高い一次元のS波速度構造モデルを切り出すことができる。

モデル作成とシミュレーションは図3−41に示す流れにより行った。また、微動アレーで求めたS波を反射法速度モデルに当てはめる手法を図3−42に示した。

下総地殻活動観測井で取得され入手された5つ地震波形のうち、1998年8月29日、1998年11月8日、2000年4月10日の地震は比較的震央距離が近く、地震波の入射角が垂直に近い。

この中から1つの地震を選び、各強震動観測点でのS波の観測波形が、どの程度求められた速度構造によって説明されうるものかを検証した。ここでは1998年8月29日の地震を用いてシミュレーションを行うことにした。

坑底および地表での加速度波形および速度波形を図3−43−1図3−43−2に示す。この地震では、水平2成分のうち南北成分が卓越しているので、以下のシミュレーションは南北成分のみを用いて行った。より厳密な議論を行うには、震源と観測点の方位の考慮、卓越方向への成分回転処理が必要であろう。