3−4 地下構造モデルの作成

前項の結果を考慮しながら、以下の各項目について検討しながら地下構造モデルを作成した。最終的なモデル作成の手順は図4−2に示したようなものになった。

1) 基盤の深度

坑井があればそこのデータをコントロール点として、地震探査測線がある部分では反射法深度断面図の基盤深度を用いる。屈折法地震探査は、反射法の基盤深度で基盤屈折波がきちんと説明できるか否かを参照する程度にとどめる。

さらに、地震探査測線の間、あるいは地震探査測線から離れた位置の坑井データの間を補間するために、重力(ブーゲー異常)のデータを用いる。具体的な手順は3.4.2に示す。

2) 基盤のP波速度

坑井のデータがより直接的であるが、屈折法の解析結果と異なる場合ある。巨視的に見れば、屈折波の結果の方が地域的な特性を反映しているため、使いやすい。

3) 基盤のS波速度

坑井のデータが信頼性が高いが、これと整合的な微動アレー調査の解析結果を用いて平面的な分布を求める。基盤のS波速度としては、±10%程度の精度で求まれば十分と考えられる。

4) 基盤より上位の堆積層を層区分

これを判断するには、主として屈折法の解析結果を用いて決定する。識別できる屈折波が少なく堆積層内の層区分が少ないと判断される場合は、反射法断面図あるいは微動アレーの結果を参考にして層を追加する。

5) 堆積層のP波速度

坑井でVSPが取得されていれば、そのデータはもっとも確からしいと考えられる。

地震探査測線で、屈折境界直下については反射法の重合速度と比較しながら当てはめる。その他の層については、重合速度(を平滑化したもの)を用いる。

地震探査測線、坑井から離れた部分については、微動アレーから求まるS波速度が与えられた場合、ここからVp/Vsの関係を用いてP波速度を推定する。

6) 堆積層のS波速度

坑井でS波速度が得られているケースは少ない。(VSP等で求まる場合はある。)

S波反射法が実施されていれば、浅層部については、S波反射法の重合速度を用いる。

微動アレー調査点が面的に分布する場合、その速度構造を用いる。ただし、屈折法/反射法から求まる堆積層の区分と微動アレー調査の層区分が大きく異なる場合、調整が必要。