3−4−1 VPとVSの関係

平成10年度の報告書で、下総地殻活動観測井のVSPのデータを解析した結果として、P波速度1.65〜3.0km/sの範囲(S波速度0.41〜1.62km/s)で

Vs = 0.90×Vp − 1.08 (km/s)

という近似式が求められた(図3−35−1参照)。

一方、同じ図面に重ね合わせた府中地殻活動観測井のVSPのデータからは、やや異なる近似式が得られており、同じ関東平野であっても、局所的な違いがあることが分かった。関東平野全体を同じ近似式で表せないことは、VpからVsを算出する上で、難点となる。

これに加えるデータとして、今回地震探査測線上(あるいは近傍)で実施された微動アレー調査の結果から、P波重合速度と微動S波速度の関係が23点で得られた。

区間速度が重なる部分でのクロスプロットを行った結果が図3−35−2である。

クロスプロットの図からはVSPのVp−Vsの関係が、ほぼそのまま反射法のP波区間速度と微動S波速度の関係に当てはめられることが分かった。以下の流れでは、S波速度は、基盤を除いて、微動アレー調査で求まった速度を用いることとしたが、おおまかな値としては、P波速度から換算した値を用いることができる。