(4)提案

微動アレー調査において現時点では、10個の候補解の中から1個を選出し、これを最適解とする方法を採用してきたが、最大アレーの半径が2,000mであることを考慮すれば、結果表示の際には「アレーの平均値」であるという意味を含ませた方が、既存資料等の比較や反射法地震探査との比較においてより現実的な表示であると考えられる。

そこで、今後の調査結果の表示方法については、fGAによる10個の探索結果、最適解を表示すると共に最適解の標準偏差も同時に表示するなど、解がある範囲をとりうる幅を持つ値であることを強調し、解に「アレーの平均値」の意味を持たせることも必要と考えられる。

探査結果に対する誤差の評価に関しては現段階では難しい。ただし、これは微動探査法に限ったことではなくて他の探査法(例えば反射法、重力探査)に関しても誤差評価が行われたものは、ほとんど無いのではと考えられる。ここでは、微動探査法から最終的に決定された構造(S波速度、層厚)の誤差・精度を評価する方法の一案を示す。

1)fGA等によって観測位相速度曲線にフィッティングする構造を複数個求める(今回の調査では10個求めた)。

2)1)で求めた構造の平均を求める。

3)その結果求められる分散を用いて誤差・精度を評価する。

例として下総地点において基盤S波速度を、ほぼ固定して(3.0〜3.1km/s)fGA解析を行ったものに対して適用したものを図3−27に示す。他の方法の可能性も含め、詳細な評価・検討に関しては今後の議論が待たれるところと考えられる。