(1)解析1ブロックの長さについて

・最大アレー半径2,000mの位相速度解析において、解析1ブロックの長さを204.8秒と409.6秒にして結果を比較・検討した。解析に供する1ブロックの長さの検討は、No.25(SMU)地点における既存資料の結果等を用いて行った。解析1ブロック長204.8秒を用いた場合、基盤S波速度は、下総地殻活動観測井における太田S大砲データ(太田・ほか、1978)の検層結果とほぼ同じ値を示し、409.6秒を用いた場合はVSP探査結果(山水・ほか、1999)とほぼ同じ値であった。このため、基盤S波速度の決定は特に行わず暫定値として両ブロック長による結果を提示した。

・解析1ブロック長409.6秒の場合、位相速度を示す分散曲線の形状が、周波数0.2Hz以下(周期5秒以上)より低い周波数領域(長周期成分側)において変わり、位相速度が速く求まる結果が2/3の割合で得られた。

・位相速度解析に供する1ブロック長の違いは、周波数0.2Hz以下(周期5秒以上)の曲線に影響し、基盤と推定する最下層のS波速度の推定に影響するが、最下層の深度および最下層よりも上位層のS波速度については、解析ブロック長にはほとんど左右されず、安定した解として求めることができた。

・調査地域における地質との整合性、調査地点間の整合性を検討した。その結果、解析1ブロック長は409.6秒で実施した方が、全体的に調和のとれた整合性のある結果が得られた。したがって、大アレー(最大アレー半径2,000m)の解析1ブロック長は、位相速度曲線における低周波数領域のデータ解析において特に影響を与えることから、その長さは409.6秒以上で実施する必要がある。