(1)中・小アレー調査(17地点)

・位相速度に着目すると、分散曲線の形状は変曲点(曲線の傾きが急変する点)の位置から3つのパターンで分類することができ、また、その形状は位相速度曲線とS波速度構造のシミュレーションの結果からも認められることができ、主に基盤深度を反映したものであると考えた。

・解析で採用した「ブロック平均法」での一つの課題(解析1ブロック長についての課題)の検討を行った。その結果、No.25(SMU)下総地殻活動観測井における既存資料(VSP探査結果等)、調査地域全体の地質の整合性から適切な解析1ブロック長として、大アレーで409.6秒、中・小アレーで204.8秒とした。

・調査地域の大部分のS波速度構造は、既存資料(地殻活動観測井の試錐データ等)との対比から6層構造モデル化し、第1、2層目は沖積層を含む下総層群、第3、4層目は上総層群、第5層目は三浦層群および第6層目は先新第三紀基盤にそれぞれ対応すると解釈した。

・基盤深度を示すコンター図から、調査地域は北東から南西の方向に基盤が緩やかに深くなる構造であり、特に南部(臨海部)においては基盤の等深度線が密になっており、この付近で傾斜が急になる構造であると推定された。

・fGAによる逆解析において、@フリー解析、A基盤深度固定、B基盤S波速度固定およびC反射法等4層モデル深度固定の4種類での方法を比較・検討した。

その結果、拘束条件を付加した解析は、求めようとする解に歪みを与え、残差(観測値−計算値)が大きくなる傾向が見られた。これより、フリー解析による方法が最良であると判断した。

・最適解の決定に際しては、隣接する調査地点の結果、地質の既存資料・文献、反射等の結果を考慮し、フリー解析10個の候補解の中から選出する方法が適切であると判断した。