(2)求めたS波速度構造

SPAC法で解析した位相速度曲線のデータを、フォワードモデルとしてS波速度構造を推定した。図2−68−1にNo.25(SMU)地点における位相速度曲線とS波速度構造を示す。

図中、黒色の線は極小アレーの観測値、緑色の線は大・中・小アレーを統合させた観測値、赤色の線は1Hz以上の高周波数領域において推定した結果(位相速度曲線)を示す。この地点は、平成10年度の小アレー観測において、最大アレー半径100m(アレー半径50mと100m)での観測を実施しており、これが極小アレー観測における最大アレー半径48mでの観測と同程度の大きさであったことから、この地点の解析については小アレーで得られた位相速度曲線も含めS波速度構造を推定した。

図2−68−2図2−68−3図2−68−4に、No.3(GUT)、No.13(KMC)およびNo.20(ABK)の3地点それぞれの位相速度曲線とS波速度構造を示す。

表2−14−1に極小アレー観測4地点における各層のS波速度(深度150m付近まで表示)の一覧を、表2−14−2には同じく4地点の各層の下面深度(深度は150m程度まで)の一覧をそれぞれ示す。

極小アレー観測を実施した4地点において、S波速度が0.4km/sec(=400m/sec)となる工学的基盤面の深度は、表2−14−1および表2−14−2に示す。No.13(KMC)およびNo.25(SMU)の2地点においては、付近のボーリング検層結果からS波速度の逆転層があり、No.13(KMC)地点ではS波速度0.4km/sec層の下部に0.37km/secの速度層(深度26.5〜145.1mまでの区間)があるとした。また、No.25(SMU)地点では第5層にS波速度0.26km/secの速度層(深度54.1〜90.3mまでの区間)があるとした。

 極小アレー観測および解析についての考察は、3.2.4で述べる。