(4)位相速度曲線のパターン分類について

図2−51にパターン分類別の位相速度曲線を、図2−52にパターンの位置図(平面図)をそれぞれ示す。また、表3−1にはパターン分類による各地点の一覧を示す。26地点の位相速度曲線について全体を概観すると、周波数の減少(周期の増加)とともに位相速度の傾きが急変するところにそれぞれ、出現する周波数帯に違いが認められ、その違いに注目すると、これらの位相速度曲線については、前掲した図2−51と同じ傾向、つまり3つのパターンで分類することができる。以下にパターン分類による各位相速度曲線の特徴について述べる。

・パターン@:

変曲点が2ヶ所、周波数約0.42Hzと0.22Hzにあり、0.22Hzより低周波数側で位相速度の増加率が特に大きい。

このパターンに該当する調査地点は、No.15(CNT)、No.18(KSC)、No.20(ABK)、No.21(KHK)、No.22(INC)、No.23(NGR)およびNo.24(NDA)の7地点である。

これらの地点は、全調査地点のうち、北側の方向に位置し、東京湾から最も遠く、しかも利根川沿いに分布している。既存資料等によれば、基盤の深度が浅い地域である。

・パターンA:

変曲点が1ヶ所、周波数約0.35Hzにあり、それより低周波数側で位相速度は比較的穏やかにかつ単調に増加する。

調査地点のうち、No.4(ICC)、No.8(MGM)、No.9(YCY)、No.10(YAG)、No.11(MTC)、No.12(YAB)、No.13(KMC)、No.14(SRC)、No.16(KRG)、No.17(NGC)、No.19(SYT)およびNo.25(SMU)の12地点がこのパターン分類に該当する。

これらの地点は、利根川と東京湾とのほぼ中間のところに位置する。

・パターンB:

変曲点が2ヶ所、周波数約0.23Hzと0.21Hzにあり、その間で位相速度は急に増加するが、0.21Hzより低周波数側では緩やかな増加となる。

調査地点は、No.1(TDL)、No.2(URC)、No.3(GUT)、No.5(FNC)、No.6 (MKH)、No.7(NRC)およびNo.26(FNB)の7地点がこれらのパターン分類に該当する。

これらの地点は、全調査地点のうち、南側の方向に位置し、東京湾に最も近く、既存資料によれば基盤の深度が最も深い地域である。