(3)位相速度の決定

図2−48はNo.16(KRG)地点における各周波数ごとの最小二乗法によるベッセル関数のフィッティングの一例を示したものである。図中のエラ−バ−は、採用した空間自己相関係数の標準偏差の幅を示している。全地点での空間自己相関係数および各周波数ごとの最小二乗法によるベッセル関数のフィッティング結果については、別冊にそれぞれ付した。

位相速度の決定方法は、ESPAC法(周波数別にアレーサイズを変数とする空間自己相関係数に最適のベッセル関数のあてはめる方法)、およびSPAC法(距離一定で周波数を変数とする空間自己相関係数からの分散曲線を推定する方法)の2通りの方法を併用して実施した。これは、平成11年度の位相速度の決定方法と同じである。

図2−49にNo.16(KRG)地点における位相速度曲線(解析1ブロック長は204.8秒)を示す。上段はESPAC法で求めた位相速度曲線である。下段はESPAC法で求めた結果(〇印)に、相関距離別にSPAC法で求めた位相速度曲線を重ね合わている。同図中では、中アレーで求めた位相速度曲線を赤色、小アレーは青色、平成11年度に実施した大アレーは黒色の実線で示してある。また、17地点の位相速度曲線図については、それぞれ別冊資料集に付した。

図2−50−1に平成11年度に実施した9地点の位相速度曲線図、図2−50−2に平成12年度に実施した17地点の位相速度曲線図をそれぞれ示す。これら両図の位相速度曲線形状は、0.4Hz以上の高周波数領域(短周期側領域)において、どの地点の曲線もほぼ同じ結果であったことから、これらの地点の浅部構造は比較的似た構造であると推定される。