(1)観測

@データ解析に供する1ブロック長が204.8秒と409.6秒との場合について、

・逆解析を実施した全9地点において、1ブロック長を409.6秒にとると、204.8秒の時より低周波数側の位相速度がより大きくなる傾向が認められた。

・最下層のS波速度は、1ブロック長204.8秒と409.6秒とでは異なる値で求まるが、最下層の深度および最下層よりも上位層のS波速度は、解析ブロック長には左右されず安定した解として求めることができる。

・現時点では、最下層のS波速度を決定することは困難であるため、解析に供するブロック長は小、中アレーの解析ブロック長と同じ204.8秒程度で行うことが望ましい。

A観測時間について

・No.9(YCY)地点の結果によれば、アレー半径2,000mの観測時間について、60、120、240分間のそれぞれの時間の分散曲線は、その形状がほとんど変わらず差はないものと考えられる。大アレーの観測時間は60分間程度であることが望ましい。

B気象との関係について

・低気圧の接近に伴い気圧が低くなると、少し時間を遅らせた形で平均風速が速くなり、微動パワーも高くなる傾向が認められる。また、平均風速および外洋の波高と連動した形で特に微動パワーも変化する。しかし、波浪の卓越周期自体は増減を繰り返すが、観測微動の卓越周期との関係については、現時点では認められない結果となった。

・本年度の観測は冬季に実施し、大アレーのデータ解析に供する低周波領域(長周期成分)の微動を捉えることができた。これ以外の時期における観測の実施については、今後、年間を通じ観測を行い、気象と微動との関連を分析して最適観測時期を検討する必要があると考える。