(3)解析に供するブロックデータの長さについて

・本年度の解析においては、大アレー(アレー半径2,000m以上)の1ブロック長を204.8秒、409.6秒の2通りで実施した。

全体的にみると、1ブロックの長さを2倍にした解析結果の方が低周波数側の分散曲線においてその傾きが位相速度の大きな方に向く傾向が認められる。

・前掲した図2−56のNo.25(SMU)地点、図2−70のNo.26(FNB)地点および図2−80(1)〜図2−80(7)の大中小3セットアレー観測の各地点において、SPAC法で求めた統合位相速度曲線図から、これらの位相速度曲線の下に示した観測値と計算値の相対誤差を1ブロック長204.8秒、409.6秒で比較した。この結果、両ブロック長において相対誤差に明瞭な差を認めることはできなかった。これは、両ブロック長とも同じ観測データを解析に用いており、ただ単にデータ長だけが異なるという条件であるためと考えられる。

・解析1ブロック長409.6秒のさらに2倍のブロック長さである819.2秒で解析を実施した例について、図3−8−1にNo.9(YCY)地点における解析ブロックの長さによる観測位相速度の形状を比較した結果例を示す。この地点は、本年度においては大アレーのみの観測地点であり、データの長さを114分×2回(228分間)として観測を実施し位相速度解析を行った。1ブロック長204.8秒、409.6秒および819.2秒の3種類それぞれのブロック長ごとの結果とこの3種類のブロック長を重ね合わせた図を左下に示す。この結果から、No.9(YCY)地点においては、どのブロック長での解析も同じ位相速度のパターンを示すことが認められた。また、図3−8−2にはNo.9(YCY)地点における観測時間の違いによる位相速度曲線の比較例を示す。この図は、アレー半径2,000m、解析1ブロック長409.6秒のデータを用いたものである。解析に使用したデータの時間長は、57分間、114分間および228分間の3種類を用いて位相速度解析を行った。この結果、求められた3種類の分散曲線はその形状がほとんど同じであることから、観測時間の違いによる解析結果への影響は特に認められなかった。

・解析に供する1ブロックの長さについて検討すると、前述したNo.25(SMU)地点の結果からもわかるように、最下層よりも上位にある各層の深度およびS波速度は、204.8秒のデータ長、また409.6秒のデータ長も太田S大砲、VSP探査の結果とほぼ同じ深度、S波速度を示した。しかし、解析に供する1ブロックの長さによって最下層のS波速度が変わることから、現時点では微動アレー調査で求めた最下層のS波速度と太田S大砲、VSP探査との比較は今後の検討課題であると言える。

最下層のS波速度の把握に固執しなければ、小中アレーの解析に供する1ブロック204.8秒での解析長が大アレーにも適用できると考える。