微動は時間的に変化し、また、空間的にも変化するという特徴を持った波である。弾性論的には、実体波（Ｐ波、Ｓ波）や表面波（レイリー波、ラブ波）の集まりである。通常観測する微動は、複雑な微動源、伝播経路、観測場所の地下構造などの各情報を実体波や表面波の形で含んでいる。しかし、微動の発生源は地表面や海底面にあると考えられているので、実体波より表面波が優勢である。そこで、この優勢である表面波を利用し、次の手順で地下構造を推定する手法が開発された（岡田、１９９０）。

�@微動観測：地表に面的に展開した群列地震観測網（ｓｅｉｓｍｉｃ ａｒｒａｙ ｎｅｔｗｏｒｋ；以下、アレ−と略記）により微動を観測する。

�A位相速度の推定：アレ−直下の地下構造の情報を含む表面波を分散の形（位相速度−周期の関係）で検出する。

�BＳ波速度構造の推定：その分散を逆解析して、そのような分散をもたらす地下構造を推定する。

なお、微動アレ−調査で得られる地下構造は従来の地震探査とは違い、平行層で近似したものであり、各層の物性値はＳ波速度で与えられる。

表面波には波の周期（周波数）によって伝播速度が変わるいわゆる分散性の性質がある。この分散性は地下構造に密接に関係するものである。従って表面波の分散、すなわち表面波の周期（周波数）と伝播速度の関係がわかれば，それから地下構造が推定できることになる。

以上のように微動アレ−調査は、表面波の分散性から地下構造を推定する調査法である。