(2)差分法による検証

差分法により2つの中小地震についてシミュレーションを行った。その結果、三河地域の東側で発生した浜名湖の地震では良い結果が得られたが、三河地域の西側で発生した養老山地の地震では、特に岡崎平野東部において後続波が過小評価であった。

Q値の検討および東海層群の速度の深度依存について検討を行ったが、観測波形を説明できるまでにはいたらなかった。

今後の課題として、三河地域だけでなく濃尾平野や伊勢平野も含めた地震波動場の把握が必要である。観測地震波の粒子軌跡の解析などにより後続位相の伝播の様子を把握することなどがひとつの方法である。また、震源モデルの検討も必要である。従来得られている震源モデルは遠地における長周期の波動を説明できるように解析されたモデルである。本調査のように周期1秒程度をターゲットとするシミュレーションに用いるには必ずしも適していない。調査対象の領域の観測記録を用いた震源インバージョンにより周期1秒程度までを説明できる震源モデルを求める必要がある。