(2)速度値の設定

速度検層・屈折法地震探査・微動アレイ探査結果をもとに各地質に速度値を設定した。

微動アレイ探査の再解析では、反射法地震探査やボーリングデータを既知情報として利用し、各地層の深度を固定してS波速度を求めた。既知情報がない地域に関しては、上記により求めた各地層の速度を固定するとこにより、各層の深度を求めた。微動アレイ探査は単独で速度構造を決定することも可能であるが、大規模な堆積平野をターゲットとする場合には、各地層の空間的な連続性を考慮する必要があるため、速度値あるいは深度を固定して解析する方法が有効であると考えられる。

濃尾平野地下構造調査(愛知県、2003)では、清洲や山王といった大深度ボーリング孔で行われたPS検層結果により各地質の深度依存の関係を求めている。本地域においては、深度依存の関係を精度良く求められるデータがなかったため、速度の深度依存は考慮していない。地震波のH/Vスペクトル解析において、初期地下構造モデルの卓越周期と観測卓越周期は良く対応しており、必ずしも速度の深度依存を考慮しないでもモデル構築は可能と考えられる。