2−5−1 対象とする地震

過去に発生した地震について、地下構造モデルを用いて3次元有限差分法による計算を行い、計算波形と観測波形を比較することにより、3次元地下構造モデルの妥当性を検討した。

検証に用いた地震は、浜名湖の地震(静岡県西部、2001年2月23日、Mj=5.3)および養老山地の地震(岐阜県美濃中西部、1998年4月22日、Mj=5.4)の二つである。図5−1−1に差分法により計算を行った地震の震央分布を、表5−1−1に震源パラメタ一覧を示す。

浜名湖の地震については、防災科学技術研究所のF−netの手動メカニズム解を使用した。養老山地の地震については、平成14年度濃尾平野地下構造調査(愛知県、2003)において同様に差分法による計算がなされており、気象庁による震源パラメーターを使用している。濃尾平野と岡崎・豊橋平野の計算結果が容易に比較できるように同じ(気象庁)の震源パラメタを用いた。震源時間関数は、浜名湖の地震では0.5秒のベル型、養老山地の地震では0.6秒のベル型を使用した。

差分法の格子サイズは、水平方向125m、垂直方向は125mから750mと速度構造に応じて変化させた。表5−1−2に差分法計算の主な仕様を示す。

地震基盤以深の構造は、Zhao et al.(1994)を参考に設定した。表5−1−3に地震基盤以深の物性値を、図5−1−2にコンラッド面およびモホ面の上面深度のコンターを示す。なお、地震基盤以浅のQp、Qsは全ての層で110とした。Q値の基準周期は4秒とした。Q=110・基準周期4秒の場合のQ値の周期特性を図5−1−3に示す。