4−1 [岡崎平野]

本年度行われた反射法地震探査によって岡崎平野南部の基盤構造が明らかになった。これまでの調査とあわせて、岡崎平野における大まかな基盤深度構造は把握されたと考えられる。得られた地下構造モデルを用いて平野近傍で起こった2つの中小規模の地震に対して実施した3次元の地震動シミュレーションの結果は、少なくとも反射・屈折法測線近傍の観測点においては、実波形および数値計算の信頼できる範囲(周期1秒から5秒程度)において、S波の主要動部分までの実波形をよく説明できる結果となっており、得られた地下構造モデルの正当性が評価された。しかしながら、既存資料の少ない岡崎平野の中央部および知多半島の基盤構造については、重力データを用いた内外挿を行っているので、不確定要素を含んでいる。また、表面波などの後続波については、地震動シミュレーションで再現しきれていない部分もあり、特に浅部の地下構造のモデル化については課題が残されている。今後は、これまでに得られた情報を総合し、強震動データを有効に利用し、地下構造モデルの高精度化を図り、地震動シミュレーションによって、断層や盆地構造などの構造変化による地震動への影響について検討をすることが最重要課題である。そのためには、従来の地下構造調査に加えて、他の地域に比べ情報が不足している岡崎平野中央部を東西または南北に横断するような地下構造調査を実施することが望まれる。