(1)3次元波動場の計算

3次元波動場計算では、構造モデルは3次元モデル、震源は点震源とする3次元波動場を計算する。割当てメモリーサイズを削減し、数値分散を抑えながら効率良く計算を行うために、グリッド間隔を深度方向に変化させることのできるスキーム(variable grid spacing 型)を採用する(Pitarka, 1999)。震源メカニズムは、方位角(strike)、傾斜角(dip)、すべり角(rake)を点震源で与える。地震メカニズムのパラメータや他の境界条件については、2.5次元波動場計算と同じである。3次元の計算スキームを表3−4−6にまとめた。

表3−4−4に、三河平野の3次元速度モデルを岡崎平野と豊橋平野にわけて示した。Q値について、経験的な値を基に試行錯誤的に与えた。図3−4−34に、三河平野の3次元シミュレーションの計算範囲(東西73km、南北44km)を示す。図3−4−35に、基盤等深線と基盤メッシュ図(東西0.01度、南北0.009度)、図3−4−36に、D層上面等深線とD層上面メッシュ図(東西0.01度、南北0.009度)を示す。図3−4−37に、三河平野の3次元シミュレーションで使用したモデル(基盤層およびD層)を鳥瞰図で表す。水平方向のグリッド間隔は200m、深度方向のグリッド間隔は50〜500mに設定した。数値分散(グリッド分散)による数値誤差を考慮すると、数値計算結果が10%以下の誤差範囲に収まり信頼できる周波数範囲は、概ね0.5〜1Hz(S波実体波は1Hz程度、表面波は0.5Hz程度)である。もちろん、荒い精度(振幅を2倍、半分以内の整合)で波形合わせを議論する場合は、1Hzまでの周波数の計算結果が有効であると考えられる。

図3−4−38に、2001/2/23地震に対して観測波形(フィルター後速度波形)と合成波形との比較(2次元投影ライン上の観測点)を示す。図3−4−39に、計算領域内の全観測点(41地点)の観測波形と合成波形との比較(3成分)を示す。図3−4−40および図3−4−41に、各成分(N−S、E−W)の速度応答スペクトルの比較を示す。ここで使用した減衰定数は、h=0.00である。図3−4−42に、フィルター後速度波形のH/Vスペクトルの比較を示す。図3−4−43に、計算領域で合成された水平動スナップショット(3秒間隔)、図3−4−44に、計算領域で合成されたピーク速度値分布を各成分ごとに表示する。

一方、図3−4−45に、2001/9/27地震に対して観測波形(フィルター後速度波形)と合成波形との比較(2次元投影ライン上の観測点)を示す。図3−4−46−1図3−4−46−2図3−4−46−3に、計算領域内の全観測点(42地点)の観測波形と合成波形との比較(3成分)を示す。図3−4−47および図3−4−48に、各成分(N−S、E−W)の速度応答スペクトルの比較を示す。ここで使用した減衰定数は、h=0.00である。図3−4−49に、フィルター後速度波形のH/Vスペクトルの比較を示す。図3−4−50に、計算領域で合成された水平動スナップショット(3秒間隔)、図3−4−51に、計算領域で合成されたピーク速度値分布を各成分ごとに表示する。