(2)データ取得作業

調査は、許認可申請・地元交渉等の事前準備を経て、平成15年11月5日より受振点杭を設置し、測量作業を開始した。データ取得作業は平成14年11月10日より開始し、P波反射法・P波屈折法を行い、11月15日に終了した。 データ取得作業期間は6日間であった。現地作業工程表を表2−2−2に示した。総受振点数および総発振点数は以下の通りであった。

                 総受振点数           総発振点数 

        P波反射法  444                183

データ取得作業は、平成15年11月7日に作業場事務所を設営し、関係先挨拶、資機材搬入等の諸準備から作業を開始した。

市街地での調査のため、関係先への説明、地域住民への周知徹底のためのチラシ配布等の調査前準備が調査測線近傍全区間にわたってなされ、また、実発振作業時にもできうる限り各戸訪問説明等を行った。その結果、多くの方々は調査の趣旨を理解され、比較的協力的であった。

P波反射法の測線では都市部であるため道路は舗装されており、受振器は極力植込みや道路横の露出地面に設置したが、利用できない場合はアスファルト上にアルミ製受振器スタンドを使用して設置した。受振点位置が交差点や三叉路の中にあたる場合は、正規間隔で設置せず受振点位置を近くの歩道側にずらした。また、交差点・三叉路付近、停留所・商店出入り口等で歩行の邪魔となるところでは、受振器を固めて隣接して設置する「バンチング」を併用した。

調査測線と交差する道路が多数あり、特に交通量の多い幹線道路での本線ケーブルの道路横断には、信号柱を用い高架渡しを行った。高架渡しを行ったのは9ヶ所である。この他の交差点では、道路地下の水路等を通すか、ケーブルをゴム製のカバーで覆って道路面を横断した。

発振作業に当たっては、発振点毎の騒音・振動の様子を確認しながら、適宜

  ・スイープ数

  ・出力レベル

の調整等を行った。

原則として2〜3台稼働、5回スタック/点を基準としたが、各発振点の状況に応じ臨機応変に対処した。バイブレータ発振出力についても状況に応じ、最大出力の30〜90%に変えて行った。また、現地状況の許す限りスタック回数およびバイブレータ発振出力を上げ記録の質の向上に努めた。

現地調査の作業状況については、付録1の現場写真集を参照されたい。

図2−1−14−1図2−1−14−2図2−1−14−3図2−1−14−4図2−1−14−5図2−1−14−6図2−1−14−7図2−1−14−8にP波反射法の現場記録例を示した。各図は、1発振点に対して、地表の300〜444受振点で観測した記録であり、横軸は受振点の番号、縦軸は時間となっている。参考のために各図の上部に測線図も同時に添付した。これらの記録から以下のことが言える。

測線は牛川町の農道を除いて交通量が非常に多く、また、測線東側と中心部は商店・民家等多いため殆どの発振点で50%の出力での発振となった。このため、記録の質は良好とは言えないが、基盤からと考えられる屈折波を確認できる記録もある(図2−1−14−1図2−1−14−2)。牛川町の農道など90%の出力で発振できた記録では、基盤からと思われる反射波が確認できる(図2−1−14−3図2−1−14−4)。

測線西側の青竹町・問屋町・神野新田町などでは測線の交通量は多いものの、民家等が少なく、3台フルパワーでの発振が可能であったため、良好な記録を取得できた。基盤からと考えられる反射波も往復走時0.5秒付近に確認できる(図2−1−14−6図2−1−14−7図2−1−14−8)。

反射法データ取得作業の結果、次の成果物が得られた。

@現場磁気テープ(3490E Cartridge Tape., SEGYフォーマット) 2巻

A同上データシート(Observers Report) 1式

B現場モニター記録 1式

C発振点・受振点座標/標高値 1式