(3)<総合解析>

・ 平成14年度の調査で得られた堆積層中(ただし、Vs≧300m/sec)のP波速度とS波速度の関係からP波測線上において、P波速度構造から広域の堆積層のS波速度構造を推定した。

・ 豊橋平野においては、平成14年度に反射・屈折法調査を実施した南北方向と今年度実施した東西方向においては、重力値と基盤深度の関係が大きく異なる。重力データを用いたフォワードモデリング結果などから判断すると、南北測線は測線の途中で基盤の密度が変化している可能性があることがわかった。このため、データの不足している豊橋平野南部は、本年度実施した東西方向の測線で得られた基盤深度と重力値との関係から基盤深度を推定した。豊橋平野中部および北部については、反射法の結果と地表地質から基盤深度を推定した。また、反射法中の強反射面であるD層上面の深度を推定した。

[3次元地下構造モデルの検証]

・ 豊橋平野においては、1次元重複反射理論に基づく増幅特性を用いると地震基盤は1000mを超えるほうが数百メートル以下の場合より鳥取地震(2000/10/06)の増幅特性をよりよく説明することが示された。

・ 得られた3次元の地下構造モデルを用いて、愛知県西部地震(2001/9/27発生、深度15km、Mj4.3)および浜名湖直下地震(2001/2/23発生、深度40km、Mj4.9)に対する2次元および3次元の地震動シミュレーションを実施した。3次元地震動シミュレーションの結果、少なくとも反射・屈折法測線近傍の観測点においては、実波形および数値計算の信頼できる範囲(周期1秒から5秒程度)において、S波主要動部分までの実波形をよく説明できる結果となっており、得られた地下構造モデルの正当性が評価された。