(4)レイトレーシングによる地下構造の推定

レイトレーシングによる方法では、岩崎(1988)による波線追跡プログラムを用いて、試行錯誤を繰り返し、モデリングによる走時と実記録の走時合わせを行なった。

本年度は屈折法による基盤速度の推定に主眼を置き、入力モデルは、P波反射法から求まった各境界面の深度構造(5層モデル)を仮定して、各層の区間速度のみを変化させ、最もモデルと観測値の走時のずれが少ない速度モデルを最終的なモデルとした。ただし、堆積層の速度については、反射法から求まったものを用い、後続波の説明が出来るように若干変化させた。

屈折法から得られた速度モデルを付図6−4に示す。図中の+印は、速度境界深度を与えた点で、境界面はこれらの点の間で直線内挿している。また、図中の数字は各層のP波伝播速度を示し、数字が書かれている点で速度が与えられ、その間は直線内装している。

最終速度モデルに対するレイトレーシング結果と実データとの比較を付図6−5−1付図6−5−2付図6−5−3付図6−5−4付図6−5−5付図6−5−6付図6−5−7付図6−5−8に示す。この図は、上から(i)屈折波強調処理後の記録、(ii)観測走時と最終速度モデルに対する計算走時、(iii)最終速度モデルに対する屈折波線、を順に並べて表示したものである。各図中(A)には、(B)に示したモデルの範囲内での計算走時すべてが表示されているため、実データの無い部分にも計算走時が表示されている。(B)には実データで得られている最も遠い初動走時に対応する波線を太線で示した。