5 観測記録の卓越周期による検証と地下構造モデルの修正

先に設定した地下構造モデルを検証するために、地震観測記録の周波数特性を用いた2種類の手法を用いて検証を実施し、地下構造モデルを修正した。また、重力探査結果及び地震観測記録の走時データによる確認を行った。

1)卓越周波数(H/Vスペクトル)による検証

地下構造モデル、特に基盤岩類(地震基盤)の深度および堆積層の平均的なS波速度の妥当性を検証するため、地震観測記録のうち長周期成分の卓越する表面波部のH/Vスペクトルと地下構造モデルから計算したレイリー波の基本モードのH/Vスペクトルの一次ピークにて検証を行い、モデルを修正する。

2)S波増幅度による検証

地下構造モデルのうち、やや浅層部のモデルの妥当性を評価するために、0.5−5Hz前後の周波数帯域での増幅度に着目して、地震観測記録から求められるS波の増幅度と地下構造モデルから計算される増幅度の比較を行い、モデルを修正する。

3)重力異常分布による確認

密度値の妥当性ならびに地下構造モデルの3次元形状の妥当性を検証するために、実測による残差重力ブーゲ異常分布と地下構造モデルから計算される重力ブーゲ異常分布を比較する。

4)走時データによる確認

・P波およびS波速度値の妥当性ならびにモデルの3次元形状の妥当性を検証するために、地震観測記録のP波、S波初動走時と地下構造モデルから計算される理論走時とを比較する。

・基盤の深度および堆積層の速度構成の妥当性について、基盤でのPS変換波の走時に着目したレシーバ関数による検証を行う。