3−4−5 重力探査

地質調査所(2000)およびGravity Research Group in Southwest Japan(2001)が発行している重力データベースを既往データとして利用した。既往の濃尾平野周辺の重力(ブーゲー)異常図を図3−4−9に示す。重力異常は地下の密度構造を反映したものであり、東北東から西南西に向かって平野全体が次第に深くなっている状況及び平野の西端で養老断層に区切られて養老山地が急激に立ち上がっている様子を面的に見ることができる。

馬場他(2000)は、このデータをもとに、フィルター処理を行い、濃尾平野周辺の基盤岩類相当層及び第三紀層上面の深度分布を推定している。その結果は、図3−4−10図3−4−11に示すように、基盤岩類相当層の深度は養老山地に向かって東北東から西南西に向かって深くなり、最深部では、2500mに達することをはじめ、面的な分布が推定されている。また、基盤岩類の上面の深度は、反射法による深度に比べて若干深くなっている。なお、図3−4−12には残差重力と第三紀層及び第四紀層相当層の各層厚との関係を示しておく。

このように、重力探査による地質境界は、地質の境界が密度境界であると仮定して求められたものであり、全体としてのトレンドや微細な密度構造の変化を見ることが出来るものの、それが直接的に地質構造及び速度層構造の変化をあらわしているものではないことに注意を要する。

図3−4−9 濃尾平野周辺の重力ブーゲー異常分布図(単位:mgal)

図3−4−10 重力異常をもとにした密度モデル(馬場他(2000)による)

図3−4−11 残差重力分布と密度モデルによる計算重力異常分布(馬場他(2000)による)

図3−4−12 残差重力値と層厚の関係