3−4−4 微動アレイ探査

濃尾平野では、愛知県による深部地下構造調査の一環として12箇所で微動アレイ探査が実施されている。それ以外にも名古屋大学と愛知工業大学により精力的に微動アレイ探査がおこなわれており、それらのデータを合わせて探査地点は全部で31点となった(表3−4−2)。この探査位置の分布と探査による地震基盤深度の分布を、図3−4−8に示す。これによれば、平野の北東部で100〜400m、中央部で1000m程度そして南西部では1500〜1750m程度と養老山地に向かって深くなる傾向がある。ただし、隣り合った観測地点でも基盤深度が大きく異なっているものがいくつか見られる。実際にそのような構造になっている可能性もあるが、明らかに深すぎると推定されるものもあり、観測された分散曲線の解釈に任意性があることに原因がある可能性も示唆される。

微動アレイ探査は、深部までのS波速度構造を推定できる数少ない探査手法であるため、地震防災を目的とした深部地下構造調査では重要な資料となる。ただし、速度値は独立に決められるものではなく、深度との関係で決められる。また、観測の際の周波数成分によっても探査深度が制約される。このため、本調査では、屈折法や反射法地震探査で推定されるP波速度構造との比較をした後に、S波速度モデルの作成に利用する。

表3−4−2 濃尾平野における微動アレイ探査地点

図3−4−8 微動アレイ探査実施箇所位置図