３−３　ＰＳ検層

ＰＳ検層はその地点での直接的な速度構造（Ｐ波速度、Ｓ波速度）を確認することができ、しかも同時に地質との対比ができる最も有効な資料のひとつである。濃尾平野でのＰＳ検層は数十地点あるがその多くは深度１００ｍに満たないものである。いわゆる地震基盤（Ｖｐ＝５．５ｋｍ／ｓ以上、Ｖｓ＝３．０ｋｍ／ｓ以上）に達しているものはわずかに３本である。すなわち、羽島地震観測井（平野中西部：前出の図３−２−１及び表３−２−１のＮｏ．６８）、清洲地震観測井（平野中央部：前出の図３−２−１及び表３−２−１のＮｏ．７７）及びアルペン山王の湯（平野東南部：前出の図３−２−１及び表３−２−１のＮｏ．２９）である。これらを図３−３−１、図３−３−２、図３−３−３及び表３−３−１に示す。

これを見ると明らかなように、地震基盤の上面は平野の東部、中央部、中北部でおよそ６６０−７００ｍの深度に確認されている。中新統は薄く、層厚は３０−５０ｍである。東海層群は４００−６００ｍの層厚で、その上面深度は１００−３００ｍで西ほど深くなっている。また、東海層群については、３つのＰＳ検層ともに明らかに速度値が同じ地層内でも、漸増している傾向が見られる。たとえば、山王地点では、深度２００ｍ付近でＶｐ＝１．９ｋｍ／ｓ、Ｖｓ＝０．５８ｋｍ／ｓであったものが、深度６００ｍ付近ではＶｐ＝２．３３ｋｍ／ｓ、Ｖｓ＝０．８０ｋｍ／ｓとなっている。すなわち、速度の深度依存性が現れている。一方で中新統に関しては、これらのＰＳ検層資料では中新統の層厚は薄いために速度の深度依存性は明瞭に現れていない。

表３−３−１　基盤岩類に達しているＰＳ検層結果

図３−３−１ 基盤岩類に達しているＰＳ検層結果（１）：羽島地震観測井

図３−３−２ 基盤岩類に達しているＰＳ検層（２）：清洲地震観測井

図３−３−３ 基盤岩類に達しているＰＳ検層結果（３）：アルペン山王の湯