3−1−3 S波地震探査テスト

P波反射法測線の南方約500mに位置する測線長約700mのS波反射法測線において、

・S波速度構造図

・S波ミニバイブを震源とするS波反射法深度断面図

・P波大型バイブレーターを震源とするP波反射法深度断面図

が得られた。

 

これらから次のことが明らかとなった。

S波とP波の深度記録は比較的良く対応しているが、S波の基盤上面の反射波が不明瞭である。これは、アスファルト上での発震、比較的のイズの多い環境下での受振など悪条件が重なったために、基盤上面のS波反射を連続的に抽出するには震源のエネルギーが不十分だったこと(データ取得上の問題)、礫層が卓越し、反射波が散乱されやすく、また、基盤上面の形状が変化に富んでいること(構造の問題)等が複合的に影響したためと考えられる。また、基盤上面の深度はS波震源によるものとP波震源によるものでは約60m異なっている。これについては、S波反射波のS/Nが起因しているだけでなく、P波とS波の反射面が地質状況によっては必ずしも一致しないという地質的な原因も考えられる。今後、S波反射法測線近傍で掘削予定の坑井データを用いて詳細に検討して行く必要がある。

S波反射法速度解析では、以上のような問題があるものの、基盤上面までの速度を推定することが出来た。以下に、S波反射法速度解析の結果を、同測線上でのP波速度解析結果とともに示す。ここには、前述の層区分と層序も示した。表14

この結果は、PS検層に基づいた名古屋市域におけるS波速度(表2−1−4図2−1−15)と大略一致している。