6−2 濃尾平野構成する地盤の物性値について

調査地点の速度層については、PS検層結果から下記の4層に区分した。

・ 0 〜 50m間 P波:1500 〜 1700m/s S波: 200 〜 300m/s

・ 50 〜200m間 P波:2400 〜 2600m/s S波: 700 〜 800m/s

・ 200 〜661m間 P波:2000 〜 2500m/s S波: 800 〜 900m/s

・ 661m以深   P波:4000 〜 6000m/s S波:2000 〜 3500m/s

PS検層結果より、次式よりポアソン比(ν)を算出すると、下記の値となる。

式6−2−1

・ 0 〜 50m間 ν: 0.484 〜 0.491

・ 50 〜200m間 ν: 0.448 〜 0.454

・ 200 〜661m間 ν: 0.405 〜 0.426

・ 661m以深   ν: 0.242 〜 0.333

密度分布については、層相の変化に伴い変化するが、調査結果に基づき判断すると、概ね下記の4層に区分される。

・ 0 〜 50m間: 1.5〜1.8g/cm3

・ 50 〜200m間: 1.8〜2.2g/cm3

・ 200 〜661m間: 1.9〜2.4g/cm3

・ 661m以深  : 2.5〜2.7g/cm3

これらの値は、PS検層結果、密度検層およびボーリング調査結果に基づいた地層分類より区分したものであり、濃尾平野の地盤速度層構造へ適応するには、十分な検討が必要である。本報告書では、室内試験結果より、測定値の妥当性を検討した。図6−2−1に、これらの値と室内試験結果を示した。

超音波速度測定結果は、掘削時の緩みを考慮し、三軸状態で実施した200〜661m間は、P波が2000〜2420m/s、S波が568〜885m/sであった。P波については、速度検層結果の範囲内であり、調査結果が概ね妥当であると判断される。S波については、速度検層結果よりやや小さい値を示している。これについては緩みの影響が考えられる。661m以深の試料は、完全に固結し、緩みの影響の少ない新鮮岩を、供試体とし、一軸状態で超音波速度測定結果を実施した。P波は5550〜6030m/s、S波は3460〜3520m/sであり、新鮮岩のPS検層結果と調和的である。このことから、概ね妥当であると判断される。

また、密度について、掘削に伴う緩み膨張を考慮する必要があるものの、湿潤状態で実施した試験結果は、各試験試料について、密度検層結果の範囲内である。地盤が湿潤状態であると仮定すると、これらの調査結果は概ね妥当であると考えられる。

以上より、200〜661m間の室内試験結果のS波速度が、速度検層結果より、やや小さい値を示すものの、この他の調査結果については概ね妥当であると考えられ、調査結果が、物性値データとして、有用であると判断される。

図6−2−1 観測井の物性値