(5)山口県に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴

山口県に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅い地震である。なお、山口県とその周辺で発生した主な被害地震は、図8−29のとおりである。

 山口県の大部分は比較的標高の低い山地や丘稜によって占められており、中国山地の西部にかかる県東部にのみ標高1,000mを越える山地が分布している。岩国、防府、小郡、小月などに小規模な平野が点在している。県内の活断層は、県東部には岩国断層帯が右横ずれ断層として分布している。活動度はB級であるが、中国地方では珍しく断層のずれによる地形が連続的にみられる。また、県西部には左横ずれ断層である菊川断層が分布している。菊川断層の詳しい活動度などは不明であるが、北西方向に海域にまで延びている可能性がある{35}図8−30は、山口県の地形と主要な活断層を示したものである。

 山口県での陸域の浅い被害地震は、1793年の長門・周防の地震(M6.4、防府で被害)、1857年の萩の地震(M6)、1898年の見島の地震(M6.2)、1941年の須佐付近の地震(M6.2)などが知られている。最近では、1987年に山口県中部でM5.2の地震があり、山口市で小被害が生じたほか、1997年6月に山口・島根県境付近の地震(M6.1)が発生し、小被害が生じた。また、1991年に周防灘でM6.0の地震があり局所的な被害が生じたが、これも陸域の浅い地震と同じタイプと考えられる。前述の活断層で発生した被害地震は知られていない。また、1940年のM6.6の地震のように、日本海南西部では逆断層型の浅い地震が発生することもあり、沿岸で津波被害が生じる可能性もある。

 なお、山口県では、1979年のM6.1の地震のように、周防灘、安芸灘や伊予灘など瀬戸内海の西部に発生する地震や島根県の石見地方で発生する地震によって、小さいながら被害を受けることがある。また、1946年の南海地震(M8.0)では、軽微な被害を出している。

 山口県付近における小さな地震を含めた最近の地震活動を図8−31に示す。

表8−5 山口県に被害を及ぼした主な地震