(4)福井県に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴

福井県に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅い地震である。なお、福井県とその周辺で発生した主な被害地震は、図6−52のとおりである。

 福井県の地形をみると、県東部には両白山地が広がり、その西側には福井平野がほぼ南北に伸びている。福井平野と日本海沿岸(越前海岸)の間には、低い山地が広がる。敦賀付近より西では海岸に沿って平野が広がることはほとんどなく、山地が若狭湾に面している。図6−53は、福井県の地形と主要な活断層を示したものである。福井平野の東縁に沿って福井平野東縁断層帯が南北に延びている。この活断層は活動度B級の逆断層であり、東側(山地)が隆起するような活動を示している。県南東部から岐阜県にかけては活動度AまたはB級の濃尾断層帯が、越前岬付近から滋賀県の琵琶湖北東岸にかけては活動度B級の柳ヶ瀬断層帯が、ともに北西−南東方向に延びている。福井平野と越前海岸の間の山地にも、短い活断層がいくつか知られている。また、敦賀付近から琵琶湖北岸付近では、野坂・集福寺断層帯(北西−南東方向)と湖北山地断層帯(北東−南西方向)が交差するように分布している。この二つの断層帯の活動度はともにB級である。さらに、三方五湖付近から京都盆地にかけては、ほぼ南北に活動度B級の三方・花折断層帯が延びている。県内の断層帯は、南北方向のものは逆断層成分が大きく、また北西−南東方向あるいは北東−南西方向のものは横ずれ断層成分が大きい。これらは東西方向から圧縮されるような向きに活動を繰り返してきた。

 陸域の浅い被害地震としては、福井平野で発生した1948年の福井地震(M7.1)がよく知られている(詳細は6−2(3)参照)。歴史の資料によって知られている地震としては、敦賀付近に被害を与えた1325年の近江北部・若狭の地震(M6.5)と北ノ庄(福井)城に被害を与えた1639年の越前の地震(M6.0)がある。

 明治以降では、濃尾断層帯などで発生した1891年の濃尾地震(M8.0)の震源域は福井県南東部まで延びており、県内で死者12名などの被害{60}が生じた。この地震に伴い、県南東部の濃尾断層帯の一部である温見断層で地表にずれが生じた{61}。また、福井・岐阜県境付近で発生した1961年の北美濃地震(M7.0)では、県内で死者1名などの被害{62}が生じた。このほか、M6程度以下の地震は活断層帯以外でも発生することがあり、例えば、1900年の鯖江市付近の地震(M5.8)、1978年の福井市付近の地震(M4.7)、1996年の嶺北地方の地震(M4.9)などで局所的に被害が生じたことがある。

 また、石川県南部の沖合で発生した1952年の大聖寺沖地震(M6.5)や若狭湾付近で発生した1963年の越前岬沖地震(M6.9)など、付近の海域で発生した地震による被害も知られている。これらは陸域の浅い地震と同じタイプのものである。なお、福井県では、1927年の北丹後地震(M7.3)など周辺地域で発生する地震によっても被害を受けることがある。

福井県では、南海トラフ沿いの巨大地震のなかで、紀伊半島沖から遠州灘ないし駿河湾が震源域になった場合、地震動による被害を受けている。1944年の東南海地震(M7.9)では、家屋などへの被害が生じた。また、日本海東縁部で発生した1983年の日本海中部地震(M7.7)によって、敦賀の検潮所では、高さ56cmの津波が観測された{63}

 なお、福井県とその周辺における小さな地震まで含めた最近の浅い地震活動を図6−54に示す。

表6−4 福井県に被害を及ぼした主な地震