(5)新潟地震(1964年6月16日、M7.5)

新潟地震は新潟県北部の沖合を震源域とする日本海東縁部の地震であり、新潟市、佐渡島相川町、酒田市、仙台市などで震度5が観測された(図6−25)。被害は新潟、山形県など9県に及び全体として死者26名、住家全壊1,960、同全焼290{31}などとなった。新潟県では新潟市などを中心に大きな被害が生じた(図6−27)。新潟市では石油のタンクに引火したものを含め、9件の出火{32}があった。この地震では、砂地などでの液状化現象による被害が目立ち、例えば、鉄筋コンクリート4階建のアパートがそのまま傾き倒れるなどの被害が生じた(図6−28)。この地震では、近代化された市街地で液状化現象が起こり、大きな被害を及ぼしたことが特徴的であった。

 本震の約15分後から津波が日本海沿岸各地を襲った(図6−26)。津波の高さは、震源域付近の日本海沿岸で高く、3〜5mとなった。また、佐渡島の両津湾付近で3m前後、能登半島周辺までの沿岸で1〜2mとなった。さらに遠く島根県隠岐諸島でも水田が冠水した。

この地震で新潟県の粟島は全体としては1m隆起したが、東側が上がるように傾き、島の東側が1.6m、西側が0.8mの隆起{33}となった。少なくとも陸上では、断層運動によるずれは現れていない。

 この地震の有感、無感の余震回数は、図6−29のように減衰した。また、最大の余震は、本震の直後(16分後)と約3時間後に発生し、その大きさはM6.1であった。