(3)群馬県に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴

群馬県に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅い地震である。なお、群馬県とその周辺で発生した主な被害地震は、図5−40のとおりである。

 群馬県の地形を見ると、県の南東部に、関東平野の一部があるほかは、山間部が多く、関東山地、三国山脈、足尾山地などの山地に取り囲まれている。また、県内には火山が比較的多く、榛名山や赤城山、県境付近には浅間山や日光白根山などがある。図5−41は、群馬県の地形と主要な活断層を示したものである。県内の主要な活断層は、県南部の埼玉県との県境付近に活動度B級の逆断層である関東平野北西縁断層帯が北西−南東方向に延びており、この断層帯で1931年の西埼玉地震(M6.9)が発生した可能性がある。{39}この地震により、県内では死者5名などの被害が生じた。{40}また、遺跡調査などによると、818年の関東諸国の地震(M7.5以上)による可能性のある地割れや噴砂が、最近、群馬県や埼玉県の遺跡で見出されており、この地震も1931年の地震と同様に陸域の浅い地震であったと考えられている。{41}

 栃木県との県境(皇海山付近)から栃木県の日光・足尾地域にかけての地域では、定常的に地震活動が見られ、関東地方の陸域の浅いところに見られる地震活動の中で最も活発である。この地域には火山がいくつかあるが、これらの火山と地震活動との関係について、はっきりしたことはまだ分かっていない。

 また、周辺地域で発生する地震や相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震によっても被害を受けることがある。例えば、1923年の関東地震(M7.9)では、県内で負傷者4名{42}などの被害が生じた。さらに、日本海側で発生した1964年の新潟地震(M7.5)による被害も知られている。{43}

 なお、群馬県とその周辺における小さな地震まで含めた最近の浅い地震活動を図5−42に示す。

表5−4 群馬県に被害を及ぼした主な地震