(4)南西部地域(後志、渡島、檜山、胆振(苫小牧市以西)の各支庁)に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴

南西部地域に被害を及ぼす地震は、主に太平洋側沖合の地震、日本海東縁部の地震と陸域の浅い地震である。また、この地域は、北海道地方の中でも、群発地震活動が比較的多く見られるところでもある。なお、南西部地域とその周辺で発生した主な被害地震は、図3−34のとおりである。

 太平洋側の沖合で発生した最近の主な被害地震には、1952年の十勝沖地震(M8.2、詳細は3−2(1)参照)、1968年の十勝沖地震(M7.9、詳細は4−2(2)参照)などがあり、地震動による被害だけでなく、津波でも著しい被害が生じた。特に、1968年の地震では、函館市で鉄筋コンクリート造の建物が大きく破損するなどの被害があったほか、室蘭市などでも住家への被害などがあった{34}。さらに、1982年の浦河沖地震(M7.1)のように日高山脈南部で起こる地震によっても被害を受けることがある。この地震では、苫小牧市から室蘭市にかけての地域で小被害が生じた。

 日本海東縁部で発生した最近の被害地震としては、1993年の北海道南西沖地震(M7.8、詳細は3−2(3)参照))があり、震源域にごく近かった奥尻島を中心に渡島半島西部で大津波と地震動により、南西部地域で死者・行方不明者229名を出す{35}大惨事となった。特に、奥尻町青苗地区では、津波と地震後に発生した火災で市街地が壊滅的な被害を受けた。この地震では、地震動によって被害を受けた地域が、渡島半島のほぼ全域に及んだ。また、秋田県・青森県西方沖で発生した1983年の日本海中部地震(M7.7)では、渡島半島西岸の地域が大津波に襲われ、死者4名を出すなどの被害{36}が生じた。さらに、歴史の資料から1741年に大津波が渡島半島西岸を襲い、北海道で死者1,467名を出すなどの大被害{37}があったことが知られている。この津波は、渡島大島付近で発生したM7程度の大地震に伴って発生したという考えがある。その一方で、歴史の資料には、渡島大島の噴火が詳細に記述されているにもかかわらず、地震に関する記録がほとんどないことから、噴火による山体の崩壊がこの津波を起こしたという考えもある{38} 1640年の北海道駒ヶ岳噴火でも、山体の一部が崩壊して内浦湾(噴火湾)に流れ込んだために津波が発生し、対岸の有珠などで被害が生じたことがある{39}

 南西部地域には、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳などの火山が数多く分布している。平野は、比較的狭い函館平野が見られる程度である。図3−35は、南西部地域の地形と主要な活断層を示したものである。この地域の主な活断層としては、函館平野の西の端を南北に走る函館平野西縁断層帯と、内浦湾の北側にある黒松内低地断層帯がある。函館平野西縁断層帯は、活動度B〜C級の逆断層と考えられており、最近の活断層調査から、最新の活動が数千年前以降にあったことが指摘されている{40}。また、黒松内低地断層帯は活動度B〜C級の活断層である。なお、南西部地域の活断層で発生した被害地震は知られていないが、活断層の活動間隔の多くは1,000年以上なので、そこで地震が発生しないということを示しているわけではない。

 南西部地域では、群発地震がしばしば発生する。最近では、1995年10月から松前町の沖合で群発地震(最大M4.4:1997年5月5日)が発生し、同年11月23日の地震(M4.3)で松前町で震度4の揺れがあった。この他、1953年の熊石沖(最大M5.1)、1978年から1980年まで続いた函館沖(最大M4.2)、1984年の奥尻島(最大M4.2)などの群発地震が知られている。なお、このような群発地震活動と周辺の火山の噴火などとの関係については、まだよく分かっていない。

 また、1933年の三陸地震(M8.1)に伴って、この地域の太平洋沿岸に高さ1m以上の津波{41}が来たように、三陸沖の地震や1960年のチリ地震のような外国の地震によっても津波による被害を受けることがある。

なお、南西部地域とその周辺における小さな地震まで含めた最近の浅い地震活動を図3−36に示す。

表3−1 北海道に被害を及ぼした主な地震