(2)平成5年(1993年)釧路沖地震(1993年1月15日、M7.8)

釧路沖地震は、釧路沖の深さ約100kmで、沈み込んだ太平洋プレートがほぼ水平に割れる(断層運動する)ことにより発生した。かなり深いところで発生した地震ではあったが、地震の規模が大きかったため、釧路市で震度6が、浦河町、帯広市、八戸市などで震度5が観測され(図3−10)、釧路市を中心に全体で死者2名、負傷者966名{16}などの大きな被害が生じた。この地震では、港湾や低湿地などの埋立地での地盤の液状化現象と、それに伴う地盤沈下、さらに造成地、道路、鉄道などの盛土地域で発生した斜面崩壊による被害が特徴的であった(図3−11)。なお、この地震は深い地震であったため、津波は伴わなかった。

 余震の発生回数は順調に減少した(図3−12)。同年2月4日には最大余震(M4.9)が発生したが、本震に比べると非常に小さいものであった。これは深い地震に見られる一般的な傾向である。

 地震後に実施された太平洋沿岸の水準測量結果では、震源域に近いところで約6cmの沈下{17}が認められた。