(2)陸域の浅い地震(深さ約20km以浅)

北海道地方の地形を見ると、中央部では、旭川市付近から南に南北に連なるように、日高山脈、夕張山地、増毛山地などが分布している。また、それらの山地と接するように十勝平野や石狩平野などの平野が広がっている。北海道地方の主要な活断層である活動度B〜C級の十勝平野断層帯、増毛山地東縁断層帯や石狩低地東縁断層帯は、これらの平野の縁に沿って分布しており、多くのものはほぼ南北方向に延びている。それらの活断層のほとんどは逆断層であり、北海道の中央部がほぼ東西方向に圧縮されていることを示している。また、地殻変動の観測からは、おおむね西北西−東南東方向に地面が縮んでいることが分かっている。これらのことから、北海道の中央部は、太平洋プレートの沈み込みなどにより、ほぼ東西方向に圧縮の力がかかっていると考えられる。

 北海道南西部の渡島半島周辺は、地形・地質的には東北地方の奥羽山脈から続く地域と考えられている。活断層としては、函館平野に函館平野西縁断層帯があり、日本海沿岸の寿都から内浦湾にぬける黒松内低地に黒松内低地断層帯がある。それらの活断層は活動度B〜C級の逆断層と考えられている。このほか、知床半島周辺にも活断層が知られている。

 北海道地方北部のサロベツ原野付近では、活断層はほとんど見られないものの、段丘面や地層に著しい変形が見られる。この付近は、西北西−東南東方向の縮みを示す地殻変動も大きいが、これらの原因はよく分かっていない。

 北海道地方では、内陸の浅いところを震源とするM7程度の大地震は歴史的に知られていない。これは、北海道地方の明治より前の地震の資料がきわめて少ないことによるものと考えられる。また、既存の活断層が直接活動した例もこれまでに知られていないが、活断層の活動間隔の多くは1,000年以上であるので、そこで地震が発生しないということを示しているわけではない。過去の被害地震としては、弟子屈町付近で1938年の屈斜路湖の地震(M6.1)があり、地表にずれが生じた{7}。ここでは、その後もM5〜6程度の地震が発生している。また、歴史の資料によると、石狩地震とも呼ばれる1834年の石狩川河口付近の地震(M6.4)もこのタイプの地震と考えられ、現在の札幌市内にこの地震によると推定される地盤の液状化現象の痕が多く残っている{8}。そのほか、空知支庁の1995年の暑寒別岳東方の地震(M5.7) 、北海道地方のオホーツク海側で小被害が生じた1956年の網走沖の地震(M6.3)などが発生している。

 また、北海道地方の東部と西南部では、群発地震が発生することが知られている。発生する場所は、火山の周辺地域であることが多い。これらの群発地震では、個々の地震の規模は、ほとんどの場合M5以下であるが、まれにM5より大きくなり、震源の近くで局所的に被害が生じることがある。群発地震の活動期間を見ると、多くは1〜3ヵ月の比較的短い時間で収まるが、1年を越えた例も知られている。最近の主な群発地震活動としては、1964年の羅臼(最大M4.6)、1989年から現在まで継続中の十勝支庁北部(最大M4.8)、1978年から1980年まで続いた函館沖(最大M4.2)、1995年から現在まで継続中の松前沖(最大M4.4)などがある。