5−2−3 U層

U層は黒褐色を呈する細粒砂〜中粒砂からなる砂層である。砂は淘汰が非常に良く、スコリアを主体とする。層厚は1m前後である。砂層下部を中心に平行な細かいラミナが認められ、直立した未分解の植物の茎が多く含まれる。砂層中部には稀に円磨された黄白色を呈する軽石が混じる。この砂層は層相から約2500年前の山北火山砂・御殿場泥流に対比される。珪藻分析の結果、砂層中(S5、S16−S17)から沼沢湿地の環境を示すものが検出された(試料K1、K11)。

砂層頂部には層厚2cm〜5cmの黒色を呈する腐植質シルト(古土壌)がみられる。未分解の植物片が多く集積し、トレンチ南側壁面のS12−S13では、炭化木片がみられ、形状から自生していた木の根と考えられる。この炭化木片の14C年代は2450±60y.B.P.(BC790−390)である。

トレンチ壁面ではU層は平野側に向かって5°前後で西傾斜している。また、U層はトレンチ南側壁面のS4、北側壁面のN4より東で、東側に向かって薄くなり、下位のW層にアバットする。

U層を構成する古土壌、砂層はボーリングTd−2、Td−3でも確認される。低崖の西側のトレンチS15、N15付近で掘削されたTd−3では標高15.64m〜14.79m(深度1.95m〜2.80m)に、最も平野側で掘削されたボーリングTd−2では標高15.63m〜14.44m(深度1.81m〜3.00m)にU層が認められる。ボ−リングTd−2、Td−3の結果から、U層上面はほぼ水平で、基底面は2°程度で西傾斜となる。