5−1 調査目的と調査位置

千代台地西縁に連続する崖地形に関しては、断層活動によって形成された断層崖であるという見解(Kaneko,1971:鈴木,1972:活断層研究会,1980;1991:太田ほか,1982:上杉ほか,1982:上本・上杉,1998:宮内ほか,2003)と、断層は存在しないという見解(水野ほか,1996:山崎・水野,1999)がある。なお、神奈川県(2002b)の反射法地震探査では千代台地西縁に断層があるかどうかは不明瞭であった。

高田地点では、上記の崖地形の成因を検討するため、トレンチおよびボーリング調査を行った。

高田地点周辺ではHk−TPfl段丘面、A1段丘面、鴨宮面が分布する。

Hk−TPfl段丘面は、箱根東京軽石流堆積物とそれを覆う10数mの火山灰層から構成されており、年代は約5〜6万年前(町田・新井,1992)と考えられる。

A1段丘面は下位の鴨宮面より数m高い段丘面で沖積段丘と考えられる。太田ほか(1982)では後述の鴨宮面と一括して御殿場泥流の再堆積面としている。

鴨宮面は山崎(1985)によって命名され、御殿場泥流と呼ばれる層厚2m以上の火山性の砂からなる完新世段丘面で、年代は約2500年前と考えられる。

調査地点はHk−TPfl段丘面である千代台地西縁に位置し、その前縁(平野側)の鴨宮面と沖積低地とを境する比高2〜3mの低崖が連続する部分にあたる。

調査位置図を図5−1図5−2に示す。トレンチ規模は長さ20m、深さ3mである。ボーリングはTd−1〜Td3の計3孔を掘削した。