2−3 地質調査結果(精査) − トレンチ候補地点の選定−

断層の活動性が、北部・中央部・南部で異なっている可能性があることから、各地区の性状を把握するため各種調査を実施した。調査項目・数量を計画するに際して、次の段階のトレンチ調査の位置選定を念頭に入れた。

北部:豊浦町本郷地区、大河内地区で各種調査を実施した。その結果、豊浦町大河内地区で中期更新世以降に激しい断層運動があったことが確認された。しかしながら、新しい堆積物の分布が認められずそれ以降の活動については不明であり、トレンチの適地もない。

中央部:菊川町の上岡枝上流地区、下流地区の2箇所、萩ヶ台地区で各種調査を実施した。上岡枝上流地区において約11,500年前の泥炭層とその下位層では植物片を含む地層を確認している。現時点では断層と泥炭層の関係は不明であるが、泥炭層に乱れた部分が認められる。また、上岡枝下流地区では断層変位地形である風隙に旧河川堆積物が分布する。萩ヶ台地区では比抵抗映像法により菊川断層の破砕帯と推定される低比抵抗帯を確認したが、段丘堆積物、扇状地堆積物は層厚が薄く、変位があるかどうかは不明である。

南部:菊川町下保木地区で、基盤の落差とこの近傍で広域テフラである姶良Tnテフラ(AT)を確認した。また、シルト層を数層挟み、炭化物の混入も想定される。ここでは基盤岩上に段丘堆積物・姶良Tnテフラ(AT)を挟在する扇状地性堆積物・沖積層が分布しており、複数のイベントが確認できる可能性がある。

以上より、トレンチ調査の候補地として、中央部の上岡枝上流地区、上岡枝下流地区、南部の下保木地区の3箇所を選定した。

北部はトレンチ調査で活動性を評価することは困難と考えられる。北部では神田岬沖断層へ続く海域への延長、活動性の評価をする観点から海域での調査が有効であると考えられる。