(1)下保木地区トレンチ(菊川断層の南部セグメントに属する)

調査目的:菊川断層の南端に位置する。「新編 日本の活断層 1991」では、北から下保木地区付近までを確実度T、下保木地区付近より南を確実度Vとしており、菊川断層の南への延長を考慮する上で重要な位置にあり、菊川断層南部の活動性について調査する目的で実施した。

観察結果:断層はトレンチ内溝堀区間に確認され、姶良Tnテフラ(AT)以深を変位させている。トレンチ内の断層の走向傾斜は、N65°W80°Nを示す。この付近の菊川断層の走向は大局的には N35°Wであることを考えると、雁行関係(ミ型)にある。また、条線は走向がN56°Wで傾斜は22°NWであった。

活動性 :ボーリング調査結果、各種分析(放射性炭素年代測定、花粉分析、火山灰分析)結果との対比から、25,500〜25,000年前後に1回のイベントがあった。その時の鉛直変位量Dvは約50cm、条線の傾斜(22°)であることから、計算により、実変位量(net slip)Dは1.33m、水平変位量Dhは1.24mとなる。