5−3−5 断層の位置と変移様式

泥炭層は、約11,500年前という結果が得られたが、泥炭層は沢の中心部で薄くなる傾向があり、断層と泥炭層の関係は明らかとならなった。

図5−3−10に示すように基盤の上面深度のギャップから南北方向の断層を推定した。この断層は走向はほぼ南北で、一般的な(空中写真でリニアメントとして読みとられる)菊川断層の走向とは斜行している。また、既存トレンチにより確認された断層の方向と斜行している。この断層(基盤のギャップを結んだ線)は、図5−3−1に示したほ場整備前の地形による河道とほぼ一致しており、基盤のギャップは断層ではなく河道沿いの侵食である可能性も高い。

上岡枝上流地区では、明らかに菊川断層と思われる破砕帯や未固結堆積物の変形は認められなかった。しかし、断層の可能性のある基盤のギャップ、法面での泥炭層の異常な屈曲などが認められた。

これらは、現段階では断層以外の原因も考えられるが、既存トレンチ調査結果を踏まえると、上岡枝地区周辺で菊川断層は雁行し、小規模な破砕帯となっていくつかに分かれて存在する可能性がある。

今回、認められた泥炭層の屈曲や基盤のギャップを今後の調査で明らかにする必要がある。