(1)ピット調査

ピット調査は図5−3−3に示すように、菊川断層に直交し、断層と前述の腐植土層(泥炭層)との関係が確認できる可能性のある位置で深さ約1mの溝を2カ所で掘削した。

ピット調査結果を図5−3−4図5−3−5図5−3−6および図5−3−7に示す。また、写真を写真5−3−1写真5−3−2に示す。ピットで地層の堆積状況は次の通りである。

図5−3−4図5−3−6にピットT−1、図5−3−5図5−3−7にピットT−2のスケッチ図を示した。ピットT−1では、T字に掘削したピットの北東側で基盤岩が露出し、その上位に砂礫があつく分布する。露頭で確認した泥炭は、ピットT−1では薄く切れ切れに認められているが、流芯付近では、確認できない。基盤岩は、流芯付近でその上面標高を急激に下げ、深さ1mのピットでは確認できなくなる。

図5−3−6は、基盤の上面が急激に下がる付近で部分掘削を行ったスッケチ図である。基盤岩の上面は急激に下がっているが、そこには、破砕帯などは認められず、基盤岩に不整合で未固結の堆積物が堆積する。

図5−3−5のピットT−2では、数10cmの厚さを有する泥炭層が北東側(山側)で分布し、流芯方向に傾斜20°程度で傾斜するのが認められる。その傾斜する付近の部分掘削のスケッチ図を図5−3−7に示す。傾斜する泥炭層は、50cm程度落ち込み、徐々に薄くなり消滅している。泥炭層の下位の砂礫層は、特に変形は認められず、ほぼ水平に堆積する。また、その下位の基盤に段差は認められない。泥炭層の上位の砂礫層は、泥炭層を削り込み不整合で堆積する。この砂礫には、級化構造が認めらる。

以上のピットT−1,T−2の観察結果から、泥炭層の連続性は乏しく、河川の流芯方向には連続しないといえる。

また、泥炭層は10゚〜20゚の傾斜で傾斜するが、この下位の基盤岩に段差が認められないことから、有機物を含む泥が緩傾斜地に堆積し、その後の河川(北部の沢)により上部が削剥され、上位に砂礫層が堆積したと推定される。

なお、掘削範囲内では断層に起因すると判断される堆積物の変形は認められない。