5−1−5 花粉分析結果

BOR4−1,BOR4−2から図5−1−7に示す4地点において、花粉分析を実施した。結果、BOR4−1の試料41−1、41−3から花粉化石が検出された。BOR4−2の試料42−1からは、木本花粉化石が統計処理に可能な200個体を越えなかった。試料41−2は、花粉化石が少量含まれているものの、表面膜が腐食されており、種の同定が困難であった。

試料41−1と試料41−3について、産出花粉化石名とその出現率を表5−1−1および図5−1−8の花粉ダイアグラムに示した。検出された化石花粉群集と出現率は、2試料ともほぼ同様の結果を得た。

針葉樹では、マツ属(Pinus(Diploxylon))とトウヒ属(Picea)が20%前後と高率な出現率を示す。ついで、モミ属(Abies)、ツガ属(Tsuga)、スギ属(Cryptomeria)が出現する。マツ属は、葉の維管束(水・養分の通り道)の数が1本の単維管束亜属と2本の複維管束亜属に区分される。前者にはゴヨウマツやハイマツなどが属し、後者にはアカマツやクロマツがある。今回分析した試料から検出されたマツ属は、複維管束亜属に属すアカマツないしクロマツの花粉化石であった。試料41−1の群集は、試料41−3に比べて相対的に、マツ属の出現率が高く、他の針葉樹の出現率は若干低くなる傾向にある。

広葉樹では、ハンノキ属(Alnus)が7〜8%の出現率を示し、ついでグミ属(Elaeagnus)、カバノキ属(Betula)、クマシデ属(Carpinus)、ハリゲヤキ属(Hemiptelea)が続く。試料41−1は、試料41−3に比べてわずかであるが、カバノキ属、キハダ属(Phellodendron)、シナノキ属(Tilia)の出現率が高く、クマシデ属、ハリゲヤキ属は低くなっている。

草本花粉は木本花粉とほぼ同程度の出現率を示す。特に、試料41−3では草本花粉の出現率が木本花粉より高い。分類群別には、キク亜科(Carduoideae)が41.7〜52.6%の効率を示し、ついでカヤツリグサ科(Cyperaceae)が20%前後で出現し、イネ科が続く。